自覚しやすい症状、
自覚しにくい
臓器への影響

症状のあらわれ方は
患者さんによってさまざま

全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)は、病名に“全身性”がつくとおり、血管や皮膚、筋肉、関節、臓器など、全身のさまざまな場所に症状があらわれます。

SLE患者さんの主な症状(※)

SLEであらわれる症状

症状の起こり方は個人差が大きく、あらわれる症状や強さの程度、期間などは患者さんによって異なります。また、SLEであらわれる症状には、患者さんが自覚しやすい症状だけでなく、自覚しにくい臓器への影響があらわれることがあります。
以下に代表的なものを説明します。

患者さんが自覚しやすい
SLEの症状

SLEでは全身にさまざまな症状があらわれますが、なかでも自覚しやすいのが、全身症状や皮膚症状、粘膜症状、関節症状です。ほとんどの患者さんに、全身症状と、皮膚や関節症状がみられます。症状の組み合わせ、現れる時期、強さなどは患者さんによって異なります。気になる症状が見られたら、医師に相談することがすすめられます。

全身症状
全身倦怠感(全身のだるさが強くあらわれること)や発熱、易疲労感(疲れやすくなること)があらわれることがあります。また、食欲不振による体重減少が起こる場合があります。
皮膚症状
日光(紫外線)に当たることがきっかけで、「蝶形紅斑」と呼ばれる鼻から両側のほおにかけて蝶が羽を広げたような形をした赤く大きな発疹があらわれることがあります。かゆみは伴いません。また、日光を浴びると皮膚に赤い発疹や水ぶくれ、かゆみがあらわれる「日光過敏症」が起こることがあります。部分的に集中して髪が抜けたり、髪の量が全体的に減ってしまったりする「脱毛」も起こることがあります。そのほかにも、冷たいものに触れたり、寒さにさらされたりしたときには、手指が白く冷たくなる「レイノー現象」が起こることがあります。
粘膜症状
ほおの内側や上あご、鼻、のどの粘膜に潰瘍があらわれることがあります。多くの場合、痛みは伴いません。
関節症状
手や指、ひじ、ひざなどの関節に、腫れや痛み、関節炎がみられることがあります。関節リウマチとは異なり、関節の変形や破壊を伴うことはまれです。

患者さんが自覚しにくい
臓器への影響

SLEでは、心臓や血管、肺、消化器、腎臓、骨などさまざまな臓器に影響が及んで症状があらわれることがあります。特に、起こりやすいのが腎臓への影響です。臓器への影響は、自覚しにくい場所で起こるため、気づかないうちに症状が進行してしまうことがあります。
心臓・血管・肺への影響
SLEの患者さんでは、動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞や心不全などの心血管イベントを生じる危険性が、一般の人と比べると約2倍であるとの報告があります(※1)
腎臓への影響
日本における約300名のSLE患者さんを対象とした研究では、約40%がループス腎炎であったと報告されています(※2)。ループス腎炎はSLEの重要な臓器病変であり、SLE患者さん約1,300名を調査した結果によると、ループス腎炎が起きた患者さんの約10%が、人工透析や腎臓移植など、腎臓のはたらきを代替する治療が必要となるような末期腎不全になると報告されています(※3)
骨への影響
SLEの治療で使用される薬剤の影響によって、骨がもろくなることがあります。また、それにより骨折しやすくなることがあります(※4)

(※1)Schoenfeld SR et al. Semin Arthritis Rheum. 2013 Aug;43(1):77-95.
(※2)Tanaka Y et al. Int J Rheum Dis. 2018;21(8):1609-1618.
利益相反:本研究はグラクソ・スミスクライン株式会社の支援により行われた。
また、著者にグラクソ・スミスクライン株式会社の社員および株主が含まれる。
(※3)Hanly JG et al. Rheumatology (Oxford). 2016;55(2):252-262.
(※4)Zonana-Nacach A et al.Arthritis Rheum. 2000 Aug;43(8):1801-8.