2024年の3月14日は
World Kidney Day
~SLEの腎臓への影響:
ループス腎炎とは~

SLEでは、全身の症状(発熱、倦怠感などけんたいかん)や、皮膚・粘膜・関節の症状のみでなく、さまざまな臓器にも症状があらわれます1)。症状があらわれる臓器は、腎臓、心臓、肺、中枢神経系、消化管など多岐にわたります1)。どの臓器に症状があらわれるかは患者さんごとに異なり、症状の種類や強さ、生じる時期も個々人で違いがあります1)

自覚しやすい症状自覚しにくい臓器への影響

ループス腎炎:
SLEの腎臓への影響について

3月の第2木曜日(2024年は3月14日)は、健康全般に対する腎臓の重要性の啓発などを目的とした世界腎臓デー(World Kidney Day)です2)。そこで、SLEの腎臓への影響として特徴的な「ループス腎炎」について見ていきましょう。ループス腎炎は、SLEによって生じる腎臓の炎症です3)。腎臓の中の「糸球体しきゅうたい」と呼ばれる血液をろ過する組織の周りに炎症がおこり、タンパク尿、血尿、むくみなどが生じることもあります3)。これらの症状は自分では気づかないことがあります。
日本のSLEの患者さん295名を対象とした研究*では、ループス腎炎が41.2%の患者さんにみられたことが報告されています4)
ループス腎炎の症状が進行すると、人工透析などが必要となる末期腎まっきじんふぜん不全にふぜんなる可能性があります5)

*SLEと診断された日本人患者295名を対象とした3年間後ろ向き研究

臓器への影響に早く気づくために

臓器への影響に早く気づくために

SLEの臓器への影響は自覚しにくい場合が多く、身体に少し違和感を覚えたとしても、この程度で医師に相談してよいか悩まれる方がいらっしゃるかもしれません。相談は、将来のために今からできる行動です。医師や医療従事者に相談し、ともに臓器への影響の確認を続けて、現在の状態を把握することが大切です。
早めの相談により、患者さんの現在の状態に基づき臓器への影響を防ぐための手段を検討できる場合があります。たとえば、定期的な診察や検査、生活習慣の改善などの提案を得られるかもしれません。ご自身の将来のために、これから何ができるか考えてみるためにも、医師や医療従事者に相談されてはいかがでしょうか。

  • 1)田中良哉 薬局 2015;66:28-33.
  • 2)World Kidney Dayホームページ. Who we are.
    https://www.worldkidneyday.org/who-we-are/
  • 3)Parikh SV, et al. Am J Kidney Dis.
    2020;76(2):265-81.
    利益相反:著者にグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)のコンサルタントを務める者が含まれる。
  • 4)Tanaka Y, et al. Int J Rheum Dis.
    2018;21(8):1609-18.
    利益相反:本研究はGSKの資金提供によって行われ、著者にGSKの社員および株主が含まれる。
  • 5)Hanly JG, et al. Rheumatology (Oxford).
    2016;55(2):252-62.
    利益相反:著者にGSKから助成金、コンサルタント料などを受領している者が含まれる。